実例
中部電力は、メキシコ税務局から759億円の納付を命じられました。16年に中部電力は事業の一部を株式会社JERAへ譲渡しましたが、その取引において税が発生していたとの指摘をメキシコ税務局より受けました。税額は当時のメキシコ子会社の純資産を基に計算されたとのことです。
なお中部電力は不服申し立て準備をしており、これについての引当金は計上しない方針です。
注目点
なぜこのような税金が発生したかというと、おそらく、16年の事業譲渡で中部電力がJERAへ資産を売却した際、その資産もしくは資産の株式の子会社にメキシコ子会社が含まれおり、その譲渡益の税金を支払わなかったからだと思われます。
一般的には、株式譲渡益は売却側の属する国へ納税すれば済みますが、中国、インド、フランス、メキシコなど一部の国では、譲渡益をその売却した株の属する国へも申告しければなりません。本件ではメキシコへ譲渡益を申告しなかったため、それに気づいたメキシコ側が後になって課税してきたのではないでしょうか。
759億の詳細な計算根拠は不明ですが、いずれにせよ本件のような特殊な国が関与する国で再編する前には、売却する会社の株式に譲渡益が出るかどうか、必ず株価を算定し、益が出れば申告しなくてはなりません。