BASE社の株価算定
株式算定(バリュエーションとも呼ぶ)はDCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)にて行われることが一般的であり、当事務所もその方法を採用します。しかし本当にこの方法で正しい株価は導き出されるのでしょうか。今回は上場企業であるBASE(4477)の財務データを基に、当事務所で算定した額と、実際の市場株価を比較してみました。するとDCF法による当事務所の算定額と結果が一致しました。
DCF法による計算結果
2022年12月期第1四半期決算説明会資料に 、GMVの見込みが記載されていますので抜粋します。GMVとは流通取引総額のことで、当事務所の検証によると、下図の通りBASE社の17年度以降の売上とほぼ完全に相関します。24年度はGMV3000億円を見込むため、24年度の予想売上を263億円と見積もります。
23年度以降の損益見込みは、GMV以外に公に開示されていないため、当事務所で計算します。16年度以降の広告宣伝費を除く販管費と売上の関係は下図です。
また、広告宣伝費と売上の関係は下図です。
以上から、24年度の販管費を127億円と見積もります。売上原価率は22年度予測の50%を適用します。23年度損益は22年度と24年度の平均とします。22年度は現在開示されている予想額を使用します。
以上の数値をDCF計算式に当てはめたのが下記です。評価基準日は21年12月31日です。
BASE社は上場の歴史が浅くベータが入手できないため、同業他社のメルカリとGMOペパボの平均アンレバードベータを使用します。そして簡易的にロイター社を参考にします。投資CFは過去平均、24年以降の成長率はゼロとします。
すると、一株598円となります。実際の12月31日時点の株価は616円だったので、算定結果は実際とほぼ一致します。
まとめ
今回は、BASE社の24年度GMV予想をそのまま信じて株価を算定しました。経産省「電子商取引に関する市場調査」によると、市場規模は毎年増加しており、24年度の売上予想263億円は、BASE社のマーケットシェアを考えると達成不可でもないと考えたからです。
しかし22年11月の今日現在は、BASE社の22年度の売上が、21年12月末当時の予想よりも芳しくなかったため、BASE社による23年度以降の売上予想に対する信憑性が下がり、BASE社の株価は大きく下がっています。このように株価は将来見込みの変化で増減します。
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