石井米国公認会計士事務所

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ROEとPBRの関係

ROE8%論

ROEは収益性の指標であり、PBRは株価の指標です。この二つは関係していると一般的に言われています。経済産業省発行の伊藤レポートでは企業にROE8%以上を推奨していますし、またニッセイ基礎研究所によると、ROEが8%を超えるとPBRは1以上に上昇していくとのことです。

本当にそうなのでしょうか。当事務所は20年秋に発行された四季報を基にROEとPBRの関係図を作りました。すると上図の通りとなりました。確かにROE8%以下はPBR1近くで推移しています。そしてROE8%を超えると、PBRは上昇傾向にあります。しかし相関係数はわずか19%であり、十分に有意であるとは言えませんROEとPBRは相関しているとは思いますが、ニッセイが示すほどのきれいな相関ではありませんでした。

ではこの「ROE8%論」は事実上破綻しているのでしょうか。

そうとも言い切れません。8%という数字はあくまで日本株全体に対しての値であり、実際は会社ごとに投資家が要求するリターンはそれぞれ違うので、上図のように値が分散するのもある程度はしょうがありません。「ROE8%論」は単なるこじつけとまでは言い切れませんので、引き続きこの理論は投資家にとって重要視されていくでしょう。