シキボウ社の株価算定
株式算定(バリュエーションとも呼ぶ)はDCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)にて行われることが一般的であり、当事務所もその方法を採用します。また場合によっては配当還元法もありえるかもしれません。しかし本当にそれらの方法で正しい株価は導き出されるのでしょうか。今回は上場企業であるシキボウ(3190)の財務データを基に、当事務所で算定した額と、実際の市場株価を比較してみました。
するとDCF法では、当事務所算定額と結果は一致しませんでした。一方配当還元法では市場価格とほぼ一致しました。
中期経営計画修正前のDCF法による計算結果
シキボウ社の中期経営計画に、損益計算書の見込みが記載されていますので抜粋します。
この数値をDCF計算式に当てはめたのが下記です。評価基準日は22年3月31日です。
なお、この経営計画には親切にもキャッシュフローの見込みもありますが、今回はあえて損益計算書から営業キャッシュフローを自分で計算します。ベータ(※)は簡易的にロイター社を参考にします。26年以降の成長率はゼロとします。
※ シキボウ社のベータは市場に存在するため、わざわざアンレバードベータにする必要はありません。アンレバードは競合他社の資産ベータ平均を算出し評価対象会社のWACCに使用するためのものです。
すると、一株2918円となります。実際の3月31日時点の株価は891円だったので、算定結果に3.3倍の差が生じます。
配当還元法
次に配当還元法で計算します。シキボウ社は毎年一株40円の配当を行っています。これを株主資本コスト4.9%で割ると、一株816円となり、実際と近くなります。
まとめ
DCF法は配当還元法よりも高い算定結果となりました。投資家はより価格の低い配当還元法をシキボウ社の公正価値とみなしていることがわかりました。
しかし一株889円という結果は、PBRが1を下回るので、事実上清算価値以下です。上場企業であればそれでも売買がなされますが、中小企業が株を売買する際は、清算価値が最低額、つまりPBRがおよそ1となりますのでご注意ください。
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