実例
電子機器受託製造サービスのユー・エム・シー・エレクトロニクスは、メキシコ子会社のUMC Electronics Mexico, S.A. de C.V.と、アメリカ子会社UMC Electronics North America, Inc.を解散・清算することとしました。
メキシコで製品を製造、アメリカで販売していましたが、メキシコは設立当初からの赤字が継続しており、20年3月期には債務超過となりました。
清算に伴う損失額は現在算定中です。
注目点
アメリカ税法では、清算会社は現物分配時に発生した損益を税務上認識します。
一方株主側は、投資額に対する清算分配額の差額を損益認識します。つまり資本損益であり、配当収入ではありません。日本のように利益剰余金を計算に考慮することはありません。
しかし80%以上所有の子会社の清算では、株主側は資本損益を認識せず、繰越欠損金を引き継ぎます。
本件は親会社が日本なので、アメリカ子会社は分配時の損益をアメリカへ申告、親会社は清算分配金受領を日本へ申告します。配当ではないので、アメリカから日本への源泉税も発生しません。