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美しい海と税金の天国だったモーリシャスの未来

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実例

モーリシャスは、新型コロナと、20年7月に起きた三井商船や長鋪汽船関連の座礁石油流出事故により、旅行業が打撃を受けています。

注目ポイント

このままで、モーリシャスの経済は大丈夫なのでしょうか。実はモーリシャスは旅行業に加え金融サービスでも生計を立てており、法人税が15%の有名な租税回避地タックスヘイブン)の一つなのです。なので、旅行業が不調でも、モーリシャス経済はまだ維持できるはずでした。しかし、その金融サービスにも陰りが出てきています。

今までモーリシャスは外国からインドへ投資する上での租税回避地として使われてきました。イギリスが作り出した富の抽出手段、例えば中国にとっての香港、東南アジアにとってのシンガポールのような存在でした。インドの配当に対する個人所得税率は最大42%ですが、10%以上インド企業の株式を所有するモーリシャス個人株主は、たった5%の配当課税で済みました。また、昔の租税条約では、モーリシャス株主のインド企業売却に伴うキャピタルゲインも非課税でした。これらのタックスメリットを享受するため、モーリシャスには海外資本によるペーパーカンパニーが多く作られました。04年から14年までの間に、インドへの外国直接投資総額の約39%がモーリシャスからのものでした。

しかしそのような租税条約の悪用を防ぐために、16年の条約改定により、キャピタルゲイン非課税は条約から除かれました。その時は配当への減税処置はそのままでしたが、17-18会計年度から適用されたGeneral Anti-Avoidance Rulesにより、その配当租税回避の穴も塞がれました。

従って、モーリシャスを通してインド投資をするメリットもなくなりました。それによって弱体化し始めたモーリシャス経済は、今回の石油事故により更に窮地に立たされるのかもしれません。

参照

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